小規模のデイ事業所、市町村が指定へ-厚労省、介護保険部会に提案

小規模のデイ事業所、市町村が指定へ-厚労省、介護保険部会に提案

医療介護CBニュース 9月18日(水)20時33分配信

小規模のデイ事業所、市町村が指定へ-厚労省、介護保険部会に提案

社会保障審議会の介護保険部会(18日、東京都内)

 厚生労働省は18日の社会保障審議会介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大名誉教授)で、規模が小さな通所介護事業所の指定権者を都道府県から市町村に変更することを提案した。市町村が専門組織の評価を受けながら、通所介護事業所を指定する体制を整えることにより、地域に密着したサービス提供を充実させることが狙い。また、介護保険適用外の宿泊サービスを提供している通所介護事業所については、同サービスに関する夜間の人員の配置状況や事故の情報を公表する仕組みの導入も提案した。

 定員が10人以下の通所介護事業所は、介護報酬単価がやや高めに設定されていることなどから、最近7年で事業所数が1.5倍に増加。今年3月には、すべての通所介護事業所(3万5453か所)の半数余りを占めた。

 厚労省は、規模が小さい通所介護事業所の急増に着目。地域に密着した介護事業所を確保すると同時に、そのサービスの質の向上を図るため、規模が小さい通所介護事業所を「地域密着型通所介護」と位置付け、その指定権者を都道府県から市町村に変更することを提案した。この提案が実現した場合、各市町村は、それぞれが策定した介護保険事業計画に基づき、通所介護事業所を公募した上で、有識者や住民の代表を交えた委員会などを通じて審査し、指定の是非を決めることになる。なお、規模が大きな通所介護事業所の指定は、従来通り都道府県などが行う。

 指定権者変更の目安となる規模については、▽前年度1か月当たりの平均延べ利用者数が300人より多い事業所は、都道府県の指定▽300人以内の場合は市町村の指定―という目安が示されているが、「あくまで目安。具体的な基準は今後、検討する」(厚労省老健局)という。

 厚労省は、規模が小さい通所介護事業所が、規模が大きな通所介護事業所や、小規模多機能型居宅介護事業所のサテライト事業所となることができるよう省令などを改正することも提案した。規模が小さい通所介護事業所が、規模が大きな通所介護事業所のサテライト事業所になった場合の指定は、都道府県などが担う。一方、小規模多機能型居宅介護事業所のサテライト事業所となった場合、指定業務は市町村が担当する。

 そのほか、在宅サービス関連では、▽小規模多機能型居宅介護における25人の登録定員の弾力化や従事者の兼務要件の緩和▽小規模多機能型居宅介護に配置されたケアマネジャーによる要介護認定申請の代行を可能にする▽定期巡回・随時対応サービスに対する立ち上げ時の機器購入費の補助の継続と、普及を目指した一層の規制緩和―などが提案された。

 在宅サービスに関する厚労省の提案に対し、委員からは、「保険給付と併用する場合、全国一律の規定を設けるべき」(結城康博・淑徳大教授)、「利用者の安全面を考えた基準が必要」(齊藤秀樹・全国老人クラブ連合会理事)など、特にお泊りデイサービスの規制の必要性を指摘する声が相次いだ。【ただ正芳】